第13回国際洞窟学会議

Speleo Brazil 2001 参加記


7月16日
朝、寒くて5時半に目が覚める。イタカランビでは考えられない。暖房が無いので、毛布を迫加した。
8時半頃のバスで会場へ行き、9時からのアナウンスを聞きに行く。しかし始まったのは9時15分頃である。最初は会議の各セッションの説明、それからワン・ディ・エクスカーション(日帰り洞窟探検)やBanquet(懇親会)の申し込み方法などについての説明があった。
 このあと、9時45分から10時半頃までPaolo Forti氏の基調講演があり、3rdミレニアムのスペレオロジーについて過去2000年の洞窟と人の関わりから、100年後、次のミレニアムまでの予想の話があった。判りやすい英語で大変おもしろかった。果たして私が生きている間に月にあると予想されている溶岩洞でのケイビングが実施されるだろうか?

そのあとのセッション別の講演は測量、探検、レスキュー等が含まれるセッション4を中心に聞く。他には地質、考古、生物、ケイブダイビング、観光洞の保護・管理などのセッションがあった。最初はラオスの洞窟について聞いた.大きなチャンバーが多い地域での調査についてで、次はUIS洞窟救助委員会の歴史についてを聞いた。本来は委員長であるAndré SLAGMOLEN氏の報告のはずであったが、急に来られなくなってしまったとのことで、フランスのSpéléo Secoure Français(SSF;フランス洞窟救助組織)代表のChristian DODELIN氏が代理で行った。3番目はハンガリーの新洞についてで、多くの二次生成物のある小さな穴についてであった。
14時からは韓国で2002年7月に行われる国際洞窟博覧会のビデオや説明を聞いたあと、セッション4へ戻る。今度はレバノンの洞窟救助組織の設立についてで、Ms. Badr J. Gedeon氏の講演である。
94年に始めてSSFと接触したあと、彼女らが参加した97年の訓練の翌年から、毎年のようにSSFの訓練に人を派遣し、98年に37名の参加者で最初の国内救助訓練を行い、99年には政府と洞窟救助に関する協定も結んだとのことである。現在はSSFとも相互協力協定を結んでいるそうだ。


そのあとはケイブダイブのセッションでウェス・スカイルズのスライドショーを見て、17時15分からのスペルメディア・オープニング・セレモニーまで再び物欲にとらわれる。結局、スペイン、メキシコ、イラク、ヨーロッパExplo2000などの資料を買込んだ他、Tシャッも何枚か買ってしまった。ブラジルの洞窟の本はたくさん在庫がありそうなので、後回しとなった。
スペル・メディアは洞窟に関するビデオ作品のコンテストである。最初に参加作品のイントロ集があり、そのあと、ウェス・スカイルズの関わった作品を見た。Journey to Amazing Cavesという作品でIMAXによって撮影された商用洞窟映画である。日本ではロードショーされなかったが、米国などのIMAXシアターで公開された作品だ(現在はビデオやDVDが発売されているので購入可能)。グランド・キャニオンの岩壁にある洞窟や、峡谷にあるTufa、グリーンランドのアイスケイブ、ユカタンの水中洞窟などの映像が息をつかせぬ勢いで迫ってくる素晴らしいものであった。
このあとホールに戻ったところでシャベール(Claude Chabert)氏に会った。昔、フランスに洞窟観光に行った時に世話になった方で、Atlas Great Caves of the Worldの編者の一人でもある。ブラジルには数え切れないほどケイビングに来ているそうだ。特にイタカランビにはよく行くと言っていた。
ホテルに19時過に戻ったあと、ショッピング・センターでアマゾン料理(ピラルク)を食べた。




7月17日
この日は朝からスペル・メディアを見た。つたない内容の物から素晴しいものまで色々ある。レバノンのビデオはレスキュー・トレーニングを含んだもので、映像を見る限り、かなり大規模な訓練を行っていた。
昼は韓国のウーさんと食べた。会揚の外にある屋台のハンバーガーは安いのになかなかうまい。ウーさんとは実は3度目の遭遇で、1度目は1997年に韓国に行った際に、江原大学の近くで夕食を食べた時、2度目が2000年の秋吉台で行われた洞窟学会大会でである。ただし、互いにあまり認識していなかった。
午後もスペル・メディアを見るが、途中でGavin Newmanの3Dスライドショーを見に行く。4年前に彼のCaves of Thunderのスライドショーを見たが、非常に素晴らしかった記憶がある期待していた。けれど予定が30分ほど遅れていたため、その前の洞窟生物のセッションを見ることになっってしまった、体長1.5mmあまりの虫の交尾ダンスを見れたので良かった。3Dスライドショーは、苅田町でのAnn Bostedさんも行っていたが、彼女と作風が違うものの、やはりさすがにうまい。彼の東南アジア遠征の写真が主で、ムル・マレーシアのドランケン・フォレスト・ケイブなど行ったことのある写真もあった。ちなみにスライドショーとは言うものの、実際には2台のノートパソコンに接続された液晶プロジェクターでの上映である。最近、彼は2台のデジタルカメラを使っているとのことである。ただし600万ピクセルと言ったから、相当高いデジカメであるのは間違いない。
18時頃からはホールで再びドリンクがふるまわれ、生演奏が行われていた。この時、SSFのBernard TOURTE氏と少し話しをした。彼が最近書いたTechniques de la spéléologie alpineという最新のSRT技術の本について、とても良い本に思えるのだが、いかんせんフランス語なので読みにくいと話したら、来年頃(2002年)には英語に翻訳して出版する予定だと言っていた。ちなみに今年(2001年)のInternational rescue training sessionは11月に彼がピレネーで行なうそうだ。毎年、外国人向けの救助講習を行っているので、誰か行かないかと思うが、1997年以降日本人は誰も行っていないようだ。
20時頃にホテルに戻り、明日の日帰り巡検用の昼飯を買いにスーパマーケットに行きパンなどを買う。タ食は中華の量り売りで食べた。

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