第13回国際洞窟学会議

Speleo Brazil 2001 参加記


7月26日
 毎夜、激しい雨が降るが、この朝は晴れ間も出て良い感じである。今日は104mのピットを持つ堅穴と町の観光とにコースが別れる。
 この日は途中で、グレイスら観光の人を公園へ行く途中のバーJ・Jで降ろした。このバーは壁にケイバーの絵が書いてあるなど、この地のケイバーというかケイビングガイドのご用達の店のようである。この日もガイドの仕事に出発前の人達がいた。またこの店の少し手前には、PETZLのギアやTシャツなどを扱う店がある。私は車から見ただけだが、つなぎは無いそうだ。気温が高いので、あまり必要ないのだろう。

11時20分に公園入り口のの駐車場からを歩き始める。洞窟まで2kmとのことだ。川沿いの快適そうなキャンプ場の中を通り、さらにバナナの木の中を行く。途中、川に降り水際を歩いたり、腰のやや上の深さの川の徒渉もあった。これらの場所には、ボルトで固定されたガイドロープが渡してあり、不安感はなかった。
30分ぐらい歩いた所でAgua sujaと言う流出口に着く。竪穴を降りた後はこの穴から出て来るそうなのでもう少しだと思うが、ここからが辛かった。滑りやすい急坂を延々登る。 1時間以上、250m程は登ったと思う。すると大きなドリーネに出るが植生が多く全体像は判らない。一担斜面を降りて底へ向う谷を越えて登り返すと、洞口があった。

洞口は直径10mぐらいの斜洞である。30mぐらいで右に曲がり、さらに10mでピットに出る。曲り角付近にも堅穴があり、洞口からの水は、そちらに流れるので降りるピットには水がほとんど無い。皆の装備は我々とほとんど差はない。私が洞口で写真を撮り、食事をする間にリギングは終わっていた。ピッチヘッドから洞底までは完全なオーバーハングであった。

最初にニールセンが1時50分頃に降りる。上下間のコールはトランシーバーでおこなっているので何を喋っているのか良く判らない。次は私が降りることとなった。STOPをロープに取り付けてくれるなど、至れり尽くせりである。自分で付けた方が楽な気がするが、10.5mmか11mmの太さのロープの重みを考えれば、非常にありがたい。カウズテイルを外し、降下を開始する。
 竪穴の出だしは直怪10~15mぐらいであるが、30~40mぐらい降りると反対側の壁が見えなくなる。STOPの上、ロープが太く固いので、ロープを持ち上げるぐらいでなければ降りられず、とても疲れた。Simpleで来るべきだったとかなり後悔した。さすがに最後の30mぐらいはロープが流れやすくなる。洞底には浅い滝壷があったが水は溜まっているだけである。
久しぶりの100mの懸垂下降は、ある種の興奮感もあり楽しめた。最終的には10人が降りたあと一人が撤収のため登り返して行った。皆が降りて来るのを待つ間は、写真とビデオ撮影を試みた。ビデオは赤外撮影で何とか撮影でき、写真もそれなりのものが撮れた。この時、悲しいことに、カメラとストロボの接続コードの根元がちぎれてしまった。幸いにも再接続できたのでなんとかなったが、基本的には壊れかけているので、非常に気を使う。
 全員が降りたのは16時半頃で、それから出洞を開始する。大きな落盤のホールを下り水流まで数十m降りる。水流をやや溯ると幅5m、高さ2mぐらいの滝がある。滝の手前は水面上10cmの水潜りと簡単なチムニーの2ルートがあったので迷わずチムニーを選ぶが、ユーリーには子供でも水を潜るぞと笑われた。でも上半身は濡らしたくない。観光ではこの滝まで来るようだ。
 流出口へは腰未満の深さ、概ねひざから足首の深さの川を800m程下る。ニ次生成物の発達は良い。写真を撮りたいと思ったが、時間が無く断念した。ちなみに、総高低差は200mぐらいとのことである。
出洞したのは17時45分項で、18時半頃に駐車場に戻る。車が来るまで30分程待たされたが、宿に戻る前にバーJ・Jでビールが飲めたので満足した。宿に戻ったのは20時半を回っていた。

7月27日
 この朝は雨がしとしと降っていて薄暗い。雷は鳴っておらず、通り雨でないだけ、やっかいである。予定では215mの高さの洞口を持つ穴に行くはずであったが、歩きが長いのと増水している可能性が高いので、Diabo洞と言う観光洞へ行くことになる。
10時半頃に、いつもと違うワンボックス車で出発するが途中で、故障してしまい動かなくなる。そのため別の車で行くこととなり時間を浪費した。
観光洞までは1時間程でPETARとは別の国立公園となる。悪魔という意味を持つDiabo洞だけありマスコットキャラは悪魔である。秋芳洞ぐらいの大きさの川が流れ込む洞窟である。観光化されているのは入口付近の数百mだけであるが、流出口までの通り抜けには8時間程かかる全長8kmの長い穴である。
洞口は5×10m位で小さいが。中に入るとかなり大きくなる。幅20m、高さも同程度でいくつかの大きなホールが連続している。高さ20m規模の石旬群など見ごたえがある。写真を撮ろうとストロボを2つ取り出し使おうとすると一つ光らない。おかしいなと思っていると突然、「ボン!」と爆発音がして驚いてストロボを良く見ると、キセノン発光管の根元が黒ずんで割れていた。こんなこともあるのかと驚いた。今回、ストロボ関係は何かに憑かれたかのように壊れていく。
宿には14時半頃に戻り遅いピクニックランチを食べ、その後、Iporangaの町へ観光に行く。人口千人ぐらいの小さな町であるようだが、教会や博物館がある。
市ではあまり目ぼしいものは無く、200年前の建物を使った博物館へ行く。40~50年ぐらい前までは住居として使われていたようで、手回し電話(ちなみに現役)や古い冷蔵庫や日立のラジオなどもあった。しかし、どうも人の住んでいる気配があるなと思ったら、ガイドのピーターやスイが寝泊りしていた。博物館で寝泊まりできるのは何故なのか不思議である。

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